ミソコネ・シリーズ! かなり難解な『ドニー・ダーコ』映画リビュー!

ミソコネ・シリーズ! かなり難解な『ドニー・ダーコ』映画リビュー!

Donnie Darko『ドニー・ダーコ』



久しぶりの映画見損ねた作品『ミソコネシリーズ』。今回は『ドニー・ダーコ』! 主人公の名前をそのまま題名にした、変わった名前の作品。サンダンス映画祭で話題になり、テロの約1ヶ月後2001 年に公開されたため、ヒットというより当初はどちらかというと冷たい反応だったが、その後徐々に口コミなどで広がり(おそらく主役のジェイク・ジレンホールがスターになった ことも影響?)人気が出て、アメリカのインデペンデント映画のファンや若者の間で、特にイギリスでカルト的映画になった。2009 年にディレクターカットのBlu-Rayが出た。この作品の存在は前から知っていたけど、今回初めて全編を見た。

パズルを解いて行く様な内容が不可解で不思議な「ふりかえって考える」映画だ。なので、ハリウッドのスカっとする大型アクション映画とは、全くジャンルが異なる。日本では、ストーリーが戻る?ので『メメント』のような「リバース・ムービー」と言われている。



ムードある音楽と共にオープニングは、山の景色がきれいな道のど真ん中で倒れているドニー・ダーコが起きるストーリーの途中のシーンから始まる。高校生のドニー・ダーコは、両親と姉と妹の5人家族で、バージニア州のミドルセックスという、まあまあ裕福な郊外の街に住んでいる。姉は大学がまだ決まる前だけど、(おそらく?)ボーイフレンド(一度も画面には現れない)と夜遊んで遅く帰ってきたりしていて、妹はかなり年が離れて幼い。



ドニーは、夜中に、誰かからの声に予備だされて起きてしまい、外に出てさまよう。見た目は、明らかに夢遊病患者だ。呼び出したのは、着ぐるみを着た「銀色のウサギ」。(なんだこりゃ? 安っぽいけど面白そう)この世が終わると予言される。残りは「28日6時間42分12秒」。視聴者は、エンディングは、この最後どうなるか、の限られた時間へ緊張感が高まる設定とわかる。同時に、ウサギがはっきりと視覚できるので、これは、ドニーの夢の中?とも思ってしまう。

翌朝、緑が奇麗なゴルフ場で起き、家に帰ると、飛行機のエンジンの一部がドニーの部屋を貫通し、破壊されていた。夜中に事故は起き、ちょうど姉が帰宅していた時だったが、幸運にも全員無事だった。あり得ないけど、あり得そうなとっぴしょうもない事故で、いきなり独特な異様な世界へとグイグイ引き込まれる。まさしく運命の始まりだ。

いつも目がうつろでやや猫背で歩くドニーの姿は何かに取り憑かれているようだ。その後、学校では、洪水事故が起きたり、タイムトラベルに興味を持ち先生に質問したり、同じ街に住む奇妙な老婆が謎を解くカギになったり、セラピーに通ったり、新しくガールフレンドができたり、ウサギの名前はフランクだったり、誠実に見えた自己啓発のインストラクターが実は児童ポルノの変質者だったり、 ……そして最後に、母と妹の飛行機事故があり、はては一体全ては何だったのかと謎を解く(解けないかも)クライマックスへと向かう。

とまあ、何がなんだかわかりにくいが、余計にわかりにくくさせたかもしれないが、一度見るだけではわからないと思う。とにかく自分が感じたことは:

* 孤独
* 疎外感
* 人生の目的
* 生きるとは?
* 家族って何?
* タイムトラベル
* 夢とイマジネーションと妄想と幻覚
* 現実逃避願望
* 青春
* 反抗期
* 死の恐怖だけど死は常にそばにいて、恐怖から解放されるのは死でしかない
* 死ぬ時は誰もが独り
* 偶然の運命
* 矛盾する現実
* 不思議な因果関係
* 悩み
* フラストレーション
* 宇宙の先には何がある?
* 息子に手を焼く両親の苦悩

などなどを表現しているのだろう。世界中どこに住んでても、ティーンなら同じ様な感覚に陥ったり、悩みや興味を持ったり、共感する要素が沢山盛り込まれている。

ジャンルは、ドラマなんだけど、サスペンス&スリラーでもあり、哲学的なトピックも含まれている。多くのサブプロットや伏線があり、なかには、なるほど! と納得できるのもあれば、未だに??というのもある。

セラピストは言い切っている。ドニーは精神分裂病患者(Schizophrenic)であり、家族に伝えている。誤解されているティーンが持つ悩みを理解して、受け入れる愛情を持つのも大切だ、というメッセージも伝わってくるようだ。ドニーが、殺人を犯すかもしれないのだから、その事故を防ごう=地球を救おう?という矛盾するけど逆説的な正義感をも持ち合わせていたのかもしれない。解釈の仕方が人に寄って異なるという面白さが確かに存在する。

世界の終りのテーマはたくさんあるが、これまでにはなかった見地での表現だ。背景の設定が1988年で、バージニア州のミドルセックスという普通にあり得るアメリカの場所で、今振り返ると、テロもまだ心配しなかった古き良き時代なのだろうか? とも思ってしまう。

音楽がいい! 1982年にリリースされたTears for Fearsによる”Mad World”のテーマソングが、20 年後マイケル・アンドリューとゲーリー・ジュールスによって再アレンジ?されたバージョンになっているらしいが、音と歌詞もムードにぴったりだ。イギリスとポルトガルでトップチャート第一位になるほど大ヒットしたらしい。他の音楽もサウンド効果もムード、緊張感、期待感を呼び寄せて、ストーリーにうまく引き込ませている。数多くの80 年代の曲を再アレンジして取り入れている。


後半、妹のタレントショーに出るため母親と一緒にロサンゼルスに行くのも(ドニーは残るが)、東海岸の人たちから見れば、きらびやかに見える「ロサンゼルス」は、表面的価値の象徴で、それを風刺しているのかもしれない。

ジム・カニングハムの豪邸を見つけたきっかけは、家の前で彼の財布を拾ったからだが、その嘘っぽい設定がまたニクい。

姉がハーバード大学合格を祝ってハロウィン・パーティーというのも巧い具合にイベントを入れ込むストーリーもニクい。

もちろん、まだまだ意味不可解な要素はある。ウサギは、結局は何を表すシンボリズムなのか? スピリチャル的な力によるガイドの役目なのか? 家族や世界を救うための、誘惑の悪の象徴、ドニーは自ら克服しなければ解決できない、決別しなければならないという敵対者になるのか? 真実が隣り合わせになっている真の友達だったのか? それか、ドニー=ウサギなのか? ウサギの正体はフランクだけど、ハロウィン・パーティーでたまたまウサギのコスチュームを着ていた友達のフランクが事件に巻き込まれてしまっただけで、たまたまその後ドニーの世界の中へと、フランク&ウサギが選ばれただけだったのか? 「フランク」という名前は、デヴィッド・リンチ監督の『ブルーベルベット』のデニス・ホイッパー演じたフランクを思い出してしまう。「フランク」は、率直な、隠さない、という意味があるが、そこまで考えてキャラクターの名前を付けたのだろうか? 


繰り返すが、人によって多種多様な見方ができるので、それなりに楽しめる。家族、友達、恋人からの愛情は感じ恵まれたドニーだったか、本当は切なかったのだろう。変わり者で孤独なのだ。ドニーは恋人、家族を救うために、いやカニングハムのような真の悪を排除する役目を果たし、よりよいコミュニティーを作るために、自己を犠牲にしたのだ。でもおそらく次の世界で、天国なのか生まれかわりなのかはわからないけど、ドニーは皆と再会できて幸せになるのかもしれない。

監督はリチャード・ケリー。先生役にプロデューサーの一人でもあるドリュー・バリモアが良い感じのキャラクターを出している。真面目で良い先生だけど、誤解されて孤独だ。実はドニーに一番似ていて、一番の良き理解者なのだ。


ドニーの姉役は、本当の姉のマギー・ジレンホールで、家族で食事中に弟と言い争いが本物のようだった。姉弟で一緒に仕事できるなんてさぞかし楽しかったであろう。


母親役のメアリー・マクドネルも、息子を心配し悩みなんとかしようとする苦悩が伺える。


恋人役のジェナ・マローンもいい味を出している。奇麗だけど、家族にワケアリの悩みある孤独な転校生。昔のダイアン・レインに似ている。今だとクリステン・スチュワートの感じ?


不良番長といつも一緒につるむいじめ役にはセス・ローゲンだ。今ではコメディーのスターだが、当時ここにも出ていたのは発見であった。とても若い。


今は亡くなってしまったがパトリック・スウェイジの、偽善者キャラクターもピッタリでいい。キャラクター名のジム・カニングハムもリアルで良い感じだ。正義すぎて何かあるとは思ってきたが裏のキャラクターは驚きだった。人間の弱みに付け込んだ欺きと金欲、名声欲におごるとよくないという「誘惑」の悪魔の象徴なのか?


そして一番の驚きは、セラピスト役に『卒業』のキャサリン・ロスだ。まだ若くていいおばさんになっていた。今はもっと年を取っているだろうが、上品で誠実で信憑性があるキャラクターだった。ドニーを理解してくれている。


劇場公開時のは113分、ディレクターカットは133分。28日間、ほぼ全てカリフォルニアで撮影。予算は$4.5ミリオンで、劇場の興行収入は$7.7ミリオンだが、DVDがリリースした時、配給会社によれば、売り上げは全米だけで$10ミリオンを超えたと言っている。

もし自分が公開当時に、アメリカで生まれたティーンでこの映画を見ていたら、その後の人生にかなりの影響を残してあっただろうと感じてしまう作品だ。

特に単純明快で考えない爽快アクションハリウッド映画に見飽きた時に、夜中一人で、ティーンの頃を思い出しながらこっそり見たい人にはお薦めで〜す!

似た様な作品で『バタフライ・エフェクト』やデヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』がある。ということでまた!





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  • 2014/05/19(月) 10:56:30

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プロフィール


nagadoifilms



1963年東京生まれ。東京出身。1987年ミネソタ州マカレスター大学卒業後、アーサー・ヤング・インターナショナル(現アーンスト&ヤング)入社。1994年UCLA大学院映画学部にて修士学位号(MFA)取得。MPAA(全米映画協会)賞受賞UCLAシネコ映画団体代表。

1999年春、短編「モーメント・カフェ」がヒューストン・ワールドフェスト映画祭で金賞受賞。2000年2月初長編スリラー映画「Cruel Game」DVD全米リリース(ユニバーサル)。「エンジェルゲーム」DVD日本マーケットリリース(D’s Gate)。「Deception」海外40ケ国配給中。

SAG-AFTRA(全米俳優協会)会員。俳優として、映画『硫黄島からの手紙』(市丸少将役)、ヒストリー・チャンネルTV戦争ドラマ『ザ・ラスト・ミッション』(井田中佐役)、映画『The Final: The Rapture』(ジャーナリスト役)などに出演。

監修書に『ハリウッドを笑い飛ばせ! 映画が面白くなる業界ウラ話』(小学館集英社プロダクション、2012年)、訳著に『パワー・オブ・フィルム 名画の法則』(キネマ旬報社、共訳、2010年)。2015 年、短編小説電子書籍『ネオ昭和青春ノベル・シリーズ』(全5シリーズ全10話)が知玄舎から配信。

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